拭き漆に挑戦

■拭き漆(摺り漆)とは…

拭き漆または、摺り漆ともいいます。
漆塗り仕上げの中では最も基本的で、かつ簡単な塗り方の1つです。
素材自体の持つ美しさを充分に引き出すことのできる日本古来の漆仕上げ方法です。

有限会社ヤマカの『拭き漆』納入事例…  

◆ まずは一度、拭き漆に挑戦してみましょう!

■材料・用具一覧

(材料)
生漆・手洗用溶剤(テレピン油等)・着色用顔料(必要な場合)
(用具)
ゴムベラ(又は木ベラ)・拭取り用布・タンポを数個・ゴム手袋・空研ペパー(#120~#240・#600~#800)を各数枚程度
耐水ペパー(#1000~#1200)を各数枚程度
(漆風呂の環境)
温度20度C・湿度70%を目安としてください。

■拭き漆の手順
(イ)素地の調整工程

素地肌を整えるため#120~#240程度の空研ペパーで研磨を行います。
研磨後の粉等は、布できれいに拭き取ってください。
ワックス・ロウ等がコーディングされている素地は、漆をはじいてしまいますので空研ペパー等できれいに研磨してください。

(イ-1)目止めを行う場合
素地自体が漆を吸い込みすぎて、色合い・艶等が好みの状態に仕上がらない場合に目止めを行います。一般的には、漆が染込めばより丈夫な素地が出来上がるため目止めは行いません。
(イ-2) 着色を行う場合
着色は、松煙・弁柄等の顔料と柿渋を適量混ぜ合わせて着色剤とし筋替刷毛で素地に2回程度塗布します。
紅着色の場合はローダミンを、黄着色の場合はオーラミンを1%程度の水溶液にして使用するとよいでしょう。

(ロ)拭き漆(摺り漆)工程

素地表面に生漆を落としゴムベラ・木ベラ等で薄くのばします。
綿布(絹布・ナイロン系布)等を丸めて作ったタンポで円を描くようにして木目に漆を摺り込みます。
2~3分後、素地表面に漆を残さないようにきれいな布で拭き上げます。

(ハ)乾 燥
漆風呂・室(漆を乾かす場所)で約1~2日かけて乾かします。
漆は、乾燥するために適度な温度と十分な湿度が必要です。ご自宅のバスルーム(お風呂場)を使用するとよいでしょう。
(ニ)研磨工程
漆塗り表面の平滑化と、次に塗る漆との密着度を高めるために#600~#800程度の空研ペパーで木目に沿って軽く研磨します。
研磨後は、乾いた柔らかい布でゴミ等を拭き取ってください。

(ホ)仕上げ塗り工程

(ロ)~(ニ)の工程を2~3回程度、繰り返し行います。
その後、タンポ自体に生漆を染込ませ力を入れず練り込むように円を描きながら摺り込みきれいな布で拭き上げます。
再び、漆風呂(室)に入れ乾燥させます。
乾燥した後は、#1000~#1200の耐水ペパーで水研磨を行います。
最終の仕上げ塗り後に、お好みの色・艶に仕上がれば研磨をせず完成です。

(ヘ)研ぎ工程
(ホ)のままで十分なのですが、より艶を高めたい場合は、(ホ)の工程が終わって4~5日後につの粉に菜種油を混ぜて磨くとよいでしょう。